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POST RÉCENTS : 

ヨーロッパにおけるアフリカ美術とその流通の歴史

①15世紀末

アフリカの美術品が初めてポルトガル人によってヨーロッパにもたらされた。当時、ポルトガル人はヨーロッパからアフリカ南岸を経てインドへたどり着くための航海ルートを模索しており、1460年、アフリカの西岸にも上陸していた。15〜17世紀、ヨーロッパアフリカ間での交易はとても盛んだった。象牙や調味料、金、奴隷などもアフリカから輸出された。アフリカ西岸のいくつかの国はポルトガルとの貿易によって財を蓄えた。

ヨーロッパ各国の王や貴族たちの間では、アフリカや南アメリカの美術品を珍しがり、les cabinets curiositésに飾るのが流行った。美的感覚が評価されたのではなく、民族学的興味や物珍しさによるコレクションである。珍しい動物や鉱石、工芸品が並べられ、まるで、世界をひとつの部屋に凝縮している感じ。これが、今日の博物館や美術館の起源である。人魚のウロコとか、一角獣の角などの幻想的なものも一緒に陳列されていた。

les cabinets curiositésはこんな感じ。

https://fr.wikipedia.org/wiki/Cabinet_de_curiosit%C3%A9s

②19世紀

19世紀にも、たくさんの美術品がアフリカからヨーロッパへと持ち込まれ、多くの美術品が博物館に展示されたが、ヨーロッパ人の好みに合った一部のものだけが、偏って展示されていた。15世紀には人々は異文化への興味や交易を目的に美術品を収集していており、アフリカからもたらされる美術品の地位は高く、王や貴族の嗜好品であったが、19世紀にはこれらのイメージは急変する。美術品は主に、武器や兵器を取り扱う博物館に収蔵された。

19世紀、ヨーロッパ各国によって植民地征服が始まる。交易によってではなく、彼らは植民地化した土地から美術品を無償で巻き上げていった。征服され、現地の美術品を巻き上げられたのは、アフリカ大陸だけではない。(例:ナポレオンのエジプト遠征)

遠征の際には、現地の軍が使った武器がフランスに持ち帰られた。相手の装備を研究し、効率よく支配するのと同時に、植民地支配の戦利品として展示するためである。

さらに、19世紀の重要な変化の一つは、人種という概念と理論の成立である。この概念と理論はアングロサクソン系の国などでは、まだ使われることがあるが、フランスでは使われない。むしろ禁忌に近い。その理論とは、人類は人種ごとに分けられ、その優劣によって階層化できるという理論である。猿人は黒人へと進化し、黒人は白人へと進化し、人類の最終形、つまりヒエラルキーの最上部は白人であるとされた。当時、科学界での主流は人類単一起源説(monogénisme)であったが、徐々に人類起源多元説(polygénisme)がキリスト教的宗教的観念から主流となっていったことも、この理論の後押しとなった。

当時、完璧な美の模範とは古代ギリシャ美術であった。(例:ヴィンケルマン、典型的な古代ギリシャ信者)人々は、エジプト美術とギリシャ美術の関連性を否定し、アフリカ大陸やアラブ地域に起こった美術と古代ギリシャ美術はなんの関わりもなく、影響を受けていはいないと証明することに躍起になった。

19世紀後半には、人類学が学問として成立した。いろいろな人種の鋳造が取られ、musée de l’hommeで展示された。 この鋳造は生きている人間から取られた。(生きている人間から鋳造の型をとるマシーンは今でもmusée de l’hommeに展示されている。)人類学的調査や探検が植民地支配と同時に行われた。その際に鋳造のための生きている人間も植民地から調達された。鋳造は教育を目的として、人類起源多元説に基づいて、展示された。鋳造と同時に人体計測法(l’anthropométrie )も発達していった。

トロカデロには民族博物館が建てられた。目的はフランス人以外の世界の人種を展示するためだった。民族博物館では、生活品、武器、なんでも展示されたが、特にフランスの植民地支配の栄光を誇示するため、武器やアフリカ諸国の王族からの戦利品の展示が多かった。文化や伝統もマネキンと一緒に紹介されたし、ピカソなんかの作品も展示された。→primitivisme(プリミティヴィスム)の始まり

③1960年台

現在、ヨーロッパに保存されている6割以上のアフリカの美術品は1960年以降にヨーロッパに持ち込まれた。大半の美術品は盗まれたり、発掘場から勝手に持ちだされ、高値でヨーロッパの市場で売りだされた。アメリカやヨーロッパにはアフリカ美術品を取り扱う大きな市場が誕生した。これらのアフリカ美術品はアメリカやヨーロッパの財産の一部となっている。一方で、アフリカ大陸には彼らの作った歴史的美術品はほとんど残っていない。強奪や盗品を取り締まる法律や協定ができるが、依然として、盗品は市場に出回っている。

N.B.

art primitif, art tribal, fétiches, mystiques, etc.

以上の用語の使用には十分気をつけること。できれば使わないこと。

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